ビートニクの3つのBーBeard、Bongos、Beret。
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Bのはなしではなくて。前回のつづき。
この半年ほど、ちょくちょく戦前ブルースを再訪して、なんとなく自分の好みというか、傾向が見えてきたのでメモ。
グルーヴについてはまえに整理したので措くとして、音階にかんして、ブルーノートよりは微分音―マイクロトーンーととらえたい。ブルーノートということばにはあまりにもいろいろなものがくっつきすぎている。
基本的に民謡の類はマイクロトーンをつかうとおもってそれほどまちがいはない。わたしはたまたまブルースを聞いているのでブルースについて書いているだけで、世界の民族音楽をあされば、似たようなものはいくらでもでてくるはずである。
そういう前提にたって、ブルースフィーリングにもいろいろある、というふうにはなしをすすめていったほうが、わかりいいような気がする。
とはいいつつも、3つのセブンスコードをつかって、3度と5度のブルーノートをもちいるというのが、ブルースのもっとも世界的に広まっているフォーマットなのはたしか。これは雑にいってシカゴブルースからブルースロックを伝ってポピュラー音楽全般に広まっていると認識していい。さらにざっくりいうと、ホワイト層による、ブルースの誇張し単純化したかたちでの受容の結果であるととらえても、そんなに的外れではない。
戦前ブルースを聞いていると、ほかにもいろいろとりだせそうにおもえてくる。たとえば5度から減5度へ下がるうごきはスワンプ、3-4の往復と7のちょい上げはデルタのアーシーなフィーリング、といった具合に。
9度のちょい上げもある。4-5の往復とともにブラインド・ウィリー・ジョンソンやフレッド・マクドウェルがつかっている。合っているかしらないが、スピリチュアルなフィーリングをあじわえる。ゴスペル調というか、チャーチフィールといってもいいかもしれない。
これらは全のせすればいいというものではない。やってみるとわかるが、別ものである。あまり細分化するのもかんがえものだが、還元しすぎるとこぼれおちてしまうということは、認識すべきだとおもう。
まだ一段落していないので、ひととおりディグしてから、もういちど整理することになりそう。種々の文献によると、わたしの好きなサン・ハウスもナイトホークもタンパ・レッドの影響をうけているそうなので、このまえ立てた仮説はあっさり否定された。ロバート・ナイトホークつながりででてきたヒューストン・スタックハウスはまだ聞けていないし、タンパ・レッドのスタイルがどこからきたかも追いきれていない。
ディグしていくにしたがって、自分のサウンドの好みが明らかにつながっていることがわかって自分でも納得した。フレッド・マクドウェルがいいとおもったら、やはりというかブラインド・ウィリー・ジョンソンにちかい。サン・ハウスとともにプリーチング枠にくくれそうでもある。
伝道師たちのブルースを追うには、やはりゴスペルというか、黒人霊歌をディグる必要がありそうだ。バプティスト派やペンテコステ派やホーリネス派など、たくさんあるそうで、これもキリがない。
いまのところ、自分のなかでは、タンパ・レッドからナイトホークへ至る道と、ブラインド・ウィリー・ジョンソンからフレッド・マクドウェルに至る道の交差点にサン・ハウスがおり、このひとがずっとフェイバリットなのはそのせいなのではないかという気がしている。すくなくとも伝道師たちのボーカルにくらっているのはたしか。
以上、経過報告。