中古の真空管ギターアンプは、注意深く扱いさえすれば、こなごなにくだけちったり、消えてしまったりすることは稀にしかない。コンセントもちゃんとついているし、電源を入れたり音量を調節したりするのに必要な装置も全部―あるいはほとんど全部―ついている。
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先月ようやく近所に中古レコード屋を見つけた。ないわけがないと思っていたがやはりあった。このご時世では探索もままならず、3年近くかかった。こういうのはもう、なんといっていいかわからない。
Son Houseの『Father of the Delta Blues: Complete 1965 Recordings』が置かれていたのでフェントン・ロビンソンのレコードといっしょに買ってきた。Son Houseは10数年ぶりに聴くがやはりいい。『John the Revelator』が定期的に脳内再生されつづけていたので、音源がもういちど手もとに来てうれしい。以前入手したときは紙ジャケットだったのが今回はケースで2枚組、2枚目はアウトテイク集。文字通り完全版である。
ここ数年来さがしていたものが見つかって大いに気をよくした。ついでに書くと筆者はサンハウスの『有頂天』も好きでずっと持っている。
子のための音声ライブラリという意味でも、多少は手もとにブツを置いておかないと、フィジカルがいつでも手に入る世の中ではいよいよなくなってきたからなあ。これまたついでに書くと、タンパ・レッドの『Guitar Wizard』も人に貸したきり返ってこないので久しく探しているが見つからない。井上陽水のいうとおり、いったん探すのをやめたほうがいいのかもわからない。
フェントン・ロビンソンはところどころマジック・サムのように、シカゴブルースのように聴こえるが、ライナーを読むと活動していた地域も時代も違うみたい。雰囲気がちょっと似ているだけかも。
あ、いや、メンフィスからシカゴに出てきたのか。あながち間違った印象でもないみたい。なんせレコードを聞きつつライナーを読むのはいいものである。これでコーヒーでもあればいうことはない。
そんなわけで気分はもうブルース。ブラインド・ブレイク、ビッグ・ビル・ブルーンジー、レッドベリー、これらをYou Tubeで聴こうと思わないあたりが古いのだろう。それでいい。
この機会に戦前ブルース再訪と行こう。以上、報告おわり。