またまた前回のつづき。
デイヴ・ヴァン・ロンクによると、フォークはスタイルではなくプロセスであるという。すなわちフォークソングは文字にたよらない共同体の音楽的表現であり、それはうたい手からうたい手へと口承でつたわっていき、時の経過とともに伝言ゲームのように中身がかわっていく。
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さておき、おおかたの直感に反して、伝統をそのままのかたちで保存したければ、その価値を知らないひとの手にゆだねるのがよいということが、経験的にあきらかになっている。そうしないと、好きが嵩じて改良しようとして、結果的に台無しにしてしまいかねない。ありがた迷惑というか、善意のからまわりというか、そういうことになりがちである。
伝統の冷凍保存に意味があるかどうかはさておき、プレーヤーのたえざる改良のこころみと、資料的な価値をたもつための保存とはべつもので、それはそれ、これはこれ、というスタンスしかとりえないということは、認識しておいていいのかもしれない。
以上、報告おわり。