「他人にわかってもらえないということは、そのことを自分が十分に咀嚼しておらず、伝え方もまずかったということだ」
―黒澤明『蝦蟇の油』―
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本日のユリイカ。右手はアルアイレだけではなくアポヤンドをうまくつかう。そのために親指の背中がわをつかって余弦をミュートする。
やれやれ、こんな基本中の基本に気がつくのに20年以上かかるなど余程バカだが、それでも気づいたのはいいことだ。前回のつづきで『アンプラグド』の映像を観たとき、ようやく気づいたのである。
クラプトンは小指をボディに触れさせるスタイルなので、そのせいだろうとおもってずっとスルーしていたのだが、右手の角度と指のうごきが自分とまるでちがう。気のせいだろうとおもって内田勘太郎さんの演奏動画を見ると、似たようなうごきをしている。人差し指も中指も伸ばし気味で、ときどき中指がすっとでてくる。弦をはじくのではなく、つかんで拾うというか、おどるようにひらっていく。
ためしに親指の背中がわでミュートすると、前腕の角度がかわって、弦を水平に振動させやすくなった。その状態で第3関節からうごかすと、しぜんにアポヤンドにちかづいて、そうするとつよく弾いてもバチバチいわないし、となりの弦で指がとまるので、よけいな音もでにくい。
とにかく右手のできるだけたくさんの部分を弦にのせた状態にしておく。それでいて根もとからうごかす。右手を浮かせなければ安定しやすい。あたりまえだyo!
鏡を見ていてようやく気がついた。せっかく姿勢はマシになったことだし、右手のうごかしかたもイチから練習しよう。つくづく、することはたくさんある。
ギターは撥弦楽器といわれるが、じつはそうでもないのではないかとおもう。フィンガーピッカーたちの動画を見ていると、いずれも弦のうえをおどるように右手がうごいている。
岩登りでも、ながれるようなうごきは波乗りやダンスにたとえられ、riderやdancerといった形容をうける。だから、というわけでもないだろうが、ギターの指づかいもおなじなのではないかとおもった。以上、報告おわり。