ドバラダ飛空船〜ブルースからハワイまで〜

ギターをひいたり真空管アンプをつないだり

音楽を聴こう43 ~カール・パーキンス~

 いまはどうか知らないが、しばらくまえまでは、カール・パーキンスビートルズをとおして聞いたひとが多かったのではなかろうか。『Blue Suede Shoes』、『Honey Don’t』、『Everybody’s Trying to Be My Baby』、『Matchbox』、『Roll Over Beethoven』などである。初期ビートルズのレパートリーではわりと重要なひとではないかとおもう。

 

 図書館にボロボロのベスト盤がひっそりと置いてあり、本人の演奏をちゃんと聞いたことがなかったので借りてきた。なんというかジョニー・キャッシュエルヴィス・プレスリーの中間のようにきこえる。

 

 とくに『Movie Magg』、『Let The Jukebox Keep On Playing』といった初期の曲は、ハンク・ウィリアムズかジョニー・キャッシュかといった雰囲気である。前者は2ビートで、後者はスチールギターのスライドがはいっている。スチールギターはこの時点ですでにエレキ化されており、フレージングからして抱えるスタイルではないとおもわれる。

 

 そういえば、近所のジャンク屋に50年代製のフェンダーのエレクトリック・ラップスティールが置かれているのだが、ひょっとしたらああいうものをつかっているのかもしれない。もう1年ちかく展示ケースにはいったままだが、さいきんは顔をだしていないので、そろそろ売れたかもわからない。

 

 話をもどすと、借りてきたベスト盤の楽曲群は、おおむねロックンロール調とカントリー調の2系統にわけられる。前者のリズムにかんしては、『Tennessee』などはもろに2ビートだが、『Everybody~』などはほぼ8ビートにきこえる。

 

 ロカビリーがロックンロールになっていくととらえると、跳ね気味の2ビートがだんだんに8ビートになっていくという理解でいいのだろうか。このベスト盤は年代順に並んでいるが、2ビートとシャッフルと8ビートがまじりあっているというか、いかにも形成期という感じがする。

 

 サウンド面の特徴としては、このようなビートの混在のほかに、曲中にブレイクがはいること、何かしらフックというか、リフがあることが挙げられる。エンディングにもお決まりの作法がある。

 

 ギターソロについては、異弦同フレットの複音と、同音へのベンドまたはスライドによるアプローチはお家芸といっていい。これらはチャック・ベリーのイメージだが、だれがはじめたのか知らない。

 

 曲の構成はハッキリしていて、バンド編成もシンプル、ボーカルも癖がなく、アンサンブルもきっちりしていて聴きやすい。ボーカルやギターだけが目立つようなこともなく、一曲一曲がしっかりパッケージングされている。したがってコピーはしやすいとおもわれる。

 

 要はスタイルがはっきりしていて、シンプルで、混沌としたところがない。正統派というか、ロックンロール・クラシックといいたくなる。

 

 グッドミュージックなのにいままでちゃんと聞いていなくて申しわけない。そして知らぬ間にロカビリーつながりになっていた。

 

krokovski1868.hateblo.jp

 

 それにつけても、スチールギターのスライドサウンドは、よく聞くとほんとうにいろいろなところにでてくる。以上、報告おわり。