『ハワイのプエルトリカン・ミュージック』(スミソニアン・フォークウェイズ・レコーズ、1985年)
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またしても県立図書館である。このスミソニアンのシリーズはおもしろいのでついつい聞いてしまう。
ハワイの歴史をたどっていくと移民につながって、日本から官約移民があったり、ポルトガルからはいったり―このときにブラギーニャという楽器がはいって、これがウクレレの原型だそうである―しているが、プエルトリコからもきていたらしい。
CDのライナーによれば、1900年から1901年にかけて、5,000人という大規模な移民があったのだそうだ。サトウキビ産業に従事する人手がたりなかったためだという。以降、プエルトリコからはほとんど流入はなく、現在ではハワイ人口の1%程度にとどまるというから、まあマイノリティといっていい。
内容にかんしては、昭和のデュエットでありそうな曲もあるし、マイナー調のメロディアスなのは『ベサメ・ムーチョ』にきこえてしまうし、なんならいまでも旅行番組などでつかわれそうな作品もはいっている。10曲目の「Malditos Besos」(邦題「のろわれたキッス」)などはサンタナかとおもった。グァラーチャというスタイルだそうだ。そもそもサンタナってどこのひとだっけ?
このようなむかしのプエルトリカン・スタイルは、かえって本国にものこっていないのだそうで、ハワイの日系移民たちはこれを「カチカチ」とよんでいたそうな。たしかにイメージはすごく伝わる。
ワルツ、グァラーチャ、セイス、ダンサ、プレーナ、ポルカ、マズルカ、メレンゲ、ボレロなど、解説をよむといろいろでてくるが、しらないものがちょいちょいある。本作のレコーディングは1985年におこなわれたもので、当時はこうした音楽が、週末にコンスタントに演奏されていたらしい。例によって演奏者はプロではなく、ほとんどが熟達した職人か肉体労働者だったという。
あえていえば本作は「プエルトリカン・ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ」だろう。ほとんど同格でありながら大文字の歴史にのこらなかった存在。ストーンズにたいするドクター・フィールグッドのようなものととらえてもいいかもわからない。
P.S. なんの気なしにサブタイトルを「ブルースからハワイまで」にしてしまったが、この調子だと、ワールドミュージックをどんどんディグせにゃならんことになりそうだ。べつにワールドミュージックおたくというわけでもないんだが、のりかかった船ということで、このままいけるところまで、とんでいくとしよう。
以上、報告おわり。