ロックには衝動がつきものだ。叫びだすか、壊しだすか、踊りだすか、狂いだすか、暴れだすか、抜けだすか、弾け飛ぶか、それら全部か、いずれでもないか。
ムチャクチャやっちまえ、どっか飛んでっちまえ、わけのわからない暴力的なエナジーをこれでもかと放散する音楽、それがロックだと力強く定義しよう。
それでウィルコ・ジョンソンのカッティングがヤバイ。ハンパない。リー・ブリローのダーティなダンディズム。パブロック超ヤバい。つうかビール飲みてえ・・・思わずべらぼうな口調になってしまう、そんな感じ。
グレイトフル・デッドが正統派アメリカン・ロックバンドだとしたら、それを暴力的にして英国的韜晦を付与したのがこのバンドということになろうかと思う。どちらもライブ・バンドであることは共通しているが、フィールグッドのほうがなんというか帯域がせまい。そのぶんソリッドな危うさをはらんでいる。
1stか『Malpractice』をオススメしたいのだけど、まあなんいうか全篇これでもかとロックンロール。ブルース由来のそれはアルバート・キングやらマディ・ウォーターズに怒鳴りこまれるかもわからんけれど、ここまでくると「パクリとかなんとか、そんなんもういいっすわー」といいたいような感じになってくる。
フィールグッドはストーンズになれなかった。彼らはいわば忘れられたスター・グループである。
殆ど同格であったのに歴史に残らなかった存在。英国はキャンウェイの永遠の悪童4人組、それがドクター・フィールグッドだ。
以上、報告おわり。