ドバラダ飛空船〜ブルースからハワイまで〜

ギターをひいたり真空管アンプをつないだり

音楽を聴こう42 ~山崎まさよし~

「絶対に音楽というのは楽しんで作るものやと思うし、無理からにひねり出すとか、こじつけて作るものではなくて、自然に自分の中で歌の種火がついてきて、その歌自身が必要だと感じたときに発火させるという。そういう姿勢が大事なんやなというのを、このアルバム『SHEEP』と今回のツアーをやってみて、なんとなく感じたんですよね」(『語る山崎まさよし 上』)

 

「(・・・)やっぱり若い頃は理想を持っていたわけですよ。だから、ある程度の理想を描いて歌うというのは決して悪いことじゃないと思うし。そこに共感してくれた人もいたと思うしね。でもこうして年を重ねて、いろんなことを経験したり吸収していく中で、理想というよりも今ある状況をよくしていきたいと思う感覚も出てくるわけですよ。そこをやっぱある程度のリアルさを持って描いていくというのも今は大事なんじゃないかなという気がしているんですよね。なんかこう、楽観的にはなれないというか、昔が楽観的やったというわけではないし、決して若い人はみんなそうやというわけでもないんやけども。でも、なんかこう、自分の今の感覚に素直にいたいし、それを出していくことが自分の歌の真髄なのかなと」(『語る山崎まさよし 下』)

 

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 図書館のブックバンクに『CDで覚える山崎まさよし/ギター・ソロ曲集〈全曲タブ譜付き〉』があったので、小躍りしつつもちかえったら、CDがついていなかった。とりあえず息子が本のページをめくる練習につかっていると、家人が「『セロリ』以外きいたことがない」というので、これも図書館でなん枚か借りてきた。

 

 山崎まさよしといえば、そのむかしCharがDJをしていたラジオ番組『Mam Dad Jam!』にでたことがあり、そこで「Mountain Banboo」というセッションをしたのをおぼえている。山崎の山と竹中の竹でマウンテン・バンブー、ふざけているようだが演奏はすごかった。なんならバート・ヤンシュとジョン・レンボーンのようにきこえた。

 

 このひとの音楽的背景や、デビューまでの過程は、あらかたわすれてしまったけれど、カントリーブルースからスティーヴィー・ワンダーをはじめとする70年代の往年のソウル、AORを通っているであろうことは伝わる。ためしにこのひとの好きなギタリストをGoogle先生に聞いてみたところ、あまり知らないようだった。気になるなあ。

 

 家人は『セロリ』以外にも知っている曲がわんさとあった。それと意識せずに耳にはいっていたらしい。なんなら私より知っている。「そういえば『Hey! Hey! Hey!』にでていた」というのだが、私は『うたばん』と『Hey! Hey! Hey!』の区別がつかなかったので、ピンとはこなかった。

 

 ひさしぶりに聞いた山崎まさよしは『明日の風』、『Super Suspicion』、『コイン』、『Passage』、『やわらかい月』、『全部、君だった。』、『道化者のチャーリー』、『長男』などにくらった。このひと、キャリアのどの曲をとっても詞と声とギターが素敵にとけあっている。詩的で素敵である。

 

 なんというか、最初からすでにすごいが、どんどん進化している。なんどもブレイクスルーしている。いや、ブレイクスルーというよりは、むちゃくちゃないいかたをすると、本人の感じかたはさておき、このひとには音楽的には壁がなかったのかもわからない。

 

 近作の『ステレオ03』も図書館にあったのできいてみたら、もはや宅録感すらないほどパッケージングされた音楽だった。隙がなくなったのか、25年のうちに宅録とスタジオの距離がちぢまったのか、その両方なのか、わからないが、メモリアルアルバムだからか、音楽的には立ちどまって振り返っているような印象をうけた。

 

 調べたら今年もライブツアーをされていた。気になるなあ。

 

 

P.S. それにつけても、Dust My Broom というか、「この街をでていくよ」といわれると、むかしから妙に気がさわいでしまう。これを書いていたらふとカエターノ・ヴェローゾのアコースティック・アルバムのことをおもいだしたので、そのはなしはまた次回。

 

 以上、報告おわり。

 

 

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