ドバラダ飛空船〜ブルースからハワイまで〜

ギターをひいたり真空管アンプをつないだり

Fairwell, My Lovely

『Love Will Make a Better You』(Love Live Life+1、1971年)

 

 スピリチュアル・フリー・ジャズパンク。当然のごとく前衛。先日、フリーとスピリチュアル、パンクとドバラダは相性がいいと書いたが、それを地で行っている。

 

krokovski1868.hateblo.jp

 

 さらに相容れないはずのスピリチュアルとパンクを同居させたらこうなったというようなサウンド。ひさしぶりに聞いておもったが『2001年宇宙の旅』あたりからインスパイアされているのかもわからない。スペースオペラの片鱗くらいはききとれる。

 

 とはいえ基調はプログレフリー・ジャズパンク。ソフト・マシーンキング・クリムゾンのような香りもただよう。うまく説明できないが、アメリカンでないのはたしか。大規模工事現場のとなりで鳴らすには適しているかもわからない。

 

 周囲からの苦情をおもんばかって、ずっとさいごまで聞けたことがなかったが、今回、ようやく通しで再生できた。つくづく小市民である。これが年とともにますます保守的になっているとおもうとやるせない。

 

 ボーカルは布施明で、+1はこのひとを指している。Human Beingを「ヒューマンビーン」とうたっているのはご愛嬌。2管編成で、フルートがところどころ邦楽めいてきこえる。ギターの音はソリッドでむきだしの感じでナイス。

 

 しらべたところドラムはチト河内だった。前回とりあげた『グッドタイムミュージック』でもリズム隊を率いていたひとである。知らぬ間におなじひとを聴いているパターンで、こういうのも謎といえば謎である。

 

 この種の作品は、店がわもどの棚に置くか迷うのではないかとおもう。パーソネルの出自ならジャズだが、ほんとうならパンクにいれたく、結局その他ロックの棚にはいって―そういう棚があるとしてのはなしだが―、あまり人目につかぬまま、埃をかぶってしまうことになる。

 

 なお、ひとからこういう作品をすすめられたら、こころのなかでちょっと身構えたほうがいい。仲間だとおもわれていた場合、適当に対応するとあとでたいへんな目にあう可能性がないとはいいきれない。

 

 LLLはスーパーセッショングループという触れこみで結成され、のこされたアルバムはこれ一枚きりである。正直なところ、わざわざ買わなくてもいいとおもうが、何かに腹が立ったときなどに、聞くといいかもわからない。

 

 つくづく、よくわからない音源ばかり手もとにのこっている。これを機に手ばなそうかとおもったけれどやめにした。以上、報告おわり。