いなかっぺあるある。かっぺいのまねをして、じぶんがかっぺいでない旨アピールする。
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前回のつづき。
とにかく、訛りはだれにでもある。歩きかたの癖があるのとおなじである。一定のテンポで歩いていても、無意識に厳密にイーブンで歩いているひとはいないとおもう。靴の踵の減りかたが左右均等のひとはあまりいないし、左右の脚の長さと重さがおなじひともあまりいないから。
もっというと心臓は一般に中心より左にあるし、おもたい肝臓は中心から右に位置している。だからメカニカルなリズムというのはロマンだとおもっておいたほうがいい。
10年ちかくまえだったとおもうが、ベースマガジンのインタビューで、リチャード・ボナがクリックをだんだんへらしていく練習の説明をしていて「とんでもねえな」とおもいながら読んだおぼえがある。似たようなところで、名うてのフュージョンバンド「スタッフ」のドラマーが、カセットテープを聴きながらノリノリでドライブしていて、途中でトンネルにはいり、でてきたときにステレオと自分のタイミングがずれていて「この曲のリズムはよくない」といったとか、プロのリズム感についてのこの手の逸話は枚挙にいとまがない。ロマンがあるからみんなこういうの大好物である。私もそうです。
たしか十数年まえのCMに、ロナウジーニョがセンターラインから蹴ったボールがゴールポストにあたってノーバウンドで足元にもどってくる、というのがあったが、これも似たようなものだとおもう。むろんCGである。
はなしをもどすと、そういう雲の上のレベルにはいけないにしても、裏拍や2拍4拍でクリックを感じるのは、とくにドラマーのともだちのいない弦楽器奏者にとっては、あったほうがいいスキルではある気がする。オモテがちゃんととれないのに何いってんだというはなしだが、両方やれば理解はすすむ。
とはいいながら、4ビートのテンポの速い曲などでは、チマチマかんがえずにオモテをつよくだすことだけかんがえると、意外にグルーヴしてくれることがある。とくにベースはそうだとおもう。
なんせ置きに行くのがいちばんよくない。アタックがちゃんとでないとグルーヴはでない。
・・・音感もないしタイム感もないし、ほんとうにナイナイづくしである。せっかく棚卸しをしたので、あと10年は取り組もうとおもっているが、どうなるものやら。つくづく道遠し。