ドバラダ飛空船〜ブルースからハワイまで〜

ギターをひいたり真空管アンプをつないだり

ハワイの呼び声

 楽園の気分。そう、it’s dreamlike.

 

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 ハワイの資料をしらべていると、ちょいちょい「ハワイ・コールズ」というのがでてくるのだが、市立図書館にファーストアルバムの復刻があったので借りてきた。つくづくさぬきではいろいろなものが見つかる。日本一ちいさい県じゃなかったの?

 

 ライナーノーツによれば、1935年から1975年にかけて「ハワイ・コールズ・ショー」というラジオ番組があったそうだ。世界中で放送され、日本では進駐軍の「FEN」―エッフィーエヌ―できかれ、戦後のハワイアン・ブームのきっかけのひとつとなったという。「ハワイ・コールズ」は番組のなかで演奏したバンドをさし、同名の映画もあるという。

 

 たしかに、いわれてみるとどこか1950年代のアメリカ映画ふうなところがある。シナトラやジーン・ケリーがでてきても違和感のない雰囲気がある。音そのものは上質なラウンジ・ミュージックで、イージーにながれることもなく、といってシリアスすぎて眉間にしわがよることもない。マーティン・デニーのようなエキゾチック・サウンドとも一線を画している。

 

 曲間にはいる波音とスティールギターのレイヤーがのっけから心地よく、それに和声がつづいて、「クルーナー」ということばがしっくりくる甘い中低域のうたがながれていく。テンポはゆったりとした4拍子で、スウィングではない。これも理由はわからないが、どこかヨーロピアンな香りがする。

 

 全体的なリズムフィールは、例の寄せては返す波の調子である。ハワイ音楽に通底するこのペースは、サウンドうんぬんというよりは、ハワイの楽園イメージから打ち寄せられているようにおもう。

 

 種々の資料にいわせると、スティールギターは1970年代からこのかた下火になっているそうで、近ごろでは年配のプレーヤーがおおくなっているらしい。やってみたい気はするものの、いかんせん財布がかるすぎる。抱えるスタイルのままとりいれようとすると、アコースティックではハイフレットでのフレーズは真似しづらく、そこが非常にオイシイ部分であるというジレンマ。

 

 逆にいうと、エレキなら問題はないわけなので、おもいきって弦高をスライド用にセッティングしてしまえばいいのかも。それ用にもう一本準備すればいいのだけれど、そういうわけにもいかない。

 

 ひと月ふた月ためしてみて、わるかったらまたべつのを買ってためしてみる、という余裕のない人間は、一本買ったらさいご、よかろうがわるかろうが当分はそれで辛抱しなければならないので、その一本を買うのがなかなか容易ではない。おなじように、一本きりのエレキをスライド用にして、バランスがくずれたり、ネックが反ったりしたら目もあてられない。いきおい慎重にならざるをえない。

 

 というか、このギターにしても、15年以上ほったらかしにしていたにもかかわらず、バッテリー以外にトラブルが起きていないのは奇跡的といっていい。メイプルはネックの素材としては硬い部類にはいるときいたことがあるが、それで無事にすんだのかもわからない。

 

 なんせ、気温と湿度がおちついたら、まずはスラックキーからはいって、いよいよとなったらエレキのセッティングをいじろう。以上、経過報告。