ヘナヘナ、ではなくて。ハワイ語で寛大さを意味する。
***
ギターの弦をはりかえたらフレットがサビていた。よく見たらネックも順反りしていた。たぶんぜんぶ梅雨のせいだ。
えせハワイ。フンイキのみ。邦題は『パラダイスブレンドに捧げるスライド』。キーはF。
あれからも図書館をつかってハワイの音源をぽつぽつ聞いている。
どうやら、ハワイアンだからラップスティールやペダルスティールでスライド、というわけでもないみたい。ナイロン弦をつかったり、12弦をつかったり、使用ギターもいろいろで、ジャケットの写真などをみるかぎり、すくなくともマーティンはつかわれている。
『ハワイアン・スラック・キー・ギター・マスターズ』の解説によれば、スラック・キーは「キ・ホアル」とよばれ、オープンチューニングにして親指で低音弦をひきながらほかの指でメロディーなどを奏でるスタイルをいうそうだ。これだけ読むとブルースやラグタイムとかわらない。要は生ギターの王道スタイルである。
とはいえ、ライナーノーツにのっているだけで、かなり数のチューニングがある。ひとの名前がついているのもあるくらいだから―「レナードのC」とかそういうの―相当である。どうりで耳なじみがないわけだ。歌い手の声域に合うようにギターを調律するというからなおさらである。
せっかくなので以下にかんたんに抜粋してみた。
・オープンG むこうでは「タロ・パッチ」というらしい。
・Gワヒネ DGDF♯BD
・G6th CGEGAE
・Cメジャー CGEGCE
・Cワヒネ(レナードのC)CGDGBD
・Cニ・イハウ CGCGAD
・Fワヒネ CFCGCE
ワヒネやニ・イハウが何を指すのかは不明。ちょっと教則本か何か探してみよう。
なんせチューニングやスタイルよりなにより、とにかくギターの音がいい。テクニカルになっても押しつけがましくならない。「どうだ~!」というところがない。ラグタイムなどとくらべると、リズムもゆったりしているせいか、よけいにそう感じる。
タイレイ・タイリオというか、あきらかに波のグルーヴだとおもう。その点はボサノヴァともちかい。シンコペーションとアンティシペーションがあっても、ラグタイムとはちがう。戦前ブルースと奏法はちかくても、グルーヴは明白にことなっている。
快適で湿度の低い海のちかくで録ったから音があたたかい、というわけでもないだろうが、とにかくいい音している。Dancing Cat Recordsのシリーズ盤を聞いているが、きっと真空管マイクで録っているにちがいない。そう独りぎめにきめて居る。
ギターを修理したらまた戻ってこよう。すてきな音はつくづくたくさんある。
P.S. You Tube先輩にきいたところ、「ナヘナヘ」は現地の人によれば「soothe to come like a lullaby」だそうだ。おちついたやさしさ、くらいのニュアンスかもわからない。以上、報告おわり。