理屈が正しくても、おもしろくないものはおもしろくない。
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さいきん、真空管アンプからの流れで父がハイレゾ音源にとりつかれてしまい、寝ても覚めてもDACだのNASだのとうわごとのように呟いている。その流れでハイレゾCDを聴いてみようということになり、これまた図書館の在庫をしらべたら、マニュエル・ゲッチングの『Inventions for Electric Guitar』というアルバムに行き当たった。
さっそく聴いてみると「こんなのができたらおもしろいだろうな」というサウンドが自分の想像の1000倍高いボルテージと持続力で展開されていた。半世紀前の作品である。
いやまあ、愛聴しようとは思わんけどさ。ヤバいひとがいるもんだ、という話。
似たようなところで「こんな感じで演れたらたのしいだろうな」というスタイルは数年前からトム・ミッシュがやっていた。これはYouTubeで知った。
このあいだのレオ・コッケといい、このところ知らなかった好きな音との出会いが急にふえている。いってみれば真空管が連れてきた縁である。つくづく何がきっかけになるかわからない。
この調子では早晩、Nujabesと音響系と鎮座DOPENESSとカントリーブルースをミックスしたような音を出す人間がでてきかねない気がする。できることならそういう音を自分でつくりたいものだけれど、いつまでかかるかわかったものではない。200年くらい?
息子が生まれたせい、というわけでもないだろうが、ちかごろ長生きしたいと思いはじめてしまっている。ほんとうに、つくづく、ひとは変わる。