Tycho『AWAKE』(2014年、サンフランシスコ)
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両義的で曖昧で、矛盾をはらみつつ律動する都市の多様性をそのまま具現化したようなサウンド。21世紀の都会のエモーションとでもいうべきか。すくなくともunpleasant jobのすき間のBGMにはむかない。
本作は浮遊感というキーワードは維持されつつも、生演奏もけっこう入っているせいか比較的フィジカルでウォームな印象に仕上がっている。すこしニューオーダーっぽくもあるし、一瞬ジム・オルークのようにも聞こえる。ある種のエレクトロニカで手弾きをふやすとポストロックめいてくるような気がするが、たんなる気のせいかもしれない。
詩的で理想家気質でドリームライクでありながらもぎりぎりソリッドで最後にはポジティブであるような音楽。このへんがアメリカなのかな。知らんけど。
ちなみに筆者はセカンドの『DIVE』がもっとも気に入っている。「音源は10枚まで運動」の余波で現在は手もとにない。
以上、報告おわり。