ドバラダ飛空船〜ブルースからハワイまで〜

ギターをひいたり真空管アンプをつないだり

幻某氏

 斉藤哲夫『グッドタイムミュージック』(1974年、ソニー

 

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 たしか15年ちかくまえに仙台の中古レコード店で購入した。パラダイスレコードはすでに移転していたとおもう。

 

 ビートリーなコーラスと、カントリーウェスタンふうな調子と、ムード歌謡をないまぜにしたようなフォーク・ミュージック。ウィキペディア教授によるとコーラスはシュガーベイブ、アレンジは山下達郎である。斉藤氏のボーカルはヨーデルを多用したふわふわしたスタイルで、声質はゆずの岩沢厚治氏に似ている。

 

 はじめからおわりまでひとつの流れがあり、リプライズしながらより道しながら言及しながら参照しながら再訪しながらラストの「南部春待ち疲れバンド」になだれこんでいく。ひとつの舞台というか物語というか、組曲チックなトータル・コンセプト・アルバムになっている。

 

 こういう立ち位置のシンガーソングライターは、東西を問わずそれほど多くないのではないかとおもう。和製パンデモニウム・ショーというか、どこかハリー・ニルソンをおもいうかべてしまう。

 

 すくなくとも1974年時点では、歌唱力より作曲スキルのほうが高かった、ということはいえるとおもう。現在も活動中だそうなので、瀬戸内でライブがあったら観に行きたい。

 

 

 こないだの小坂忠もそうだが、むかしは洋楽ばかりで邦楽をことごとくスルーしていた。はずかしながら、日本語ロックはダサいものとおもいこんでいたのである。先輩のひとりがレコード店の副店長をしていたことがあったので、ずいぶんおしえてもらったおぼえがある。

 

 葡萄畑、成田賢、南正人、南佳孝夏木マリ金延幸子西岡恭蔵高田渡はちみつぱい、センチメンタル・シティ・ロマンス、村八分裸のラリーズ、etc、etc。ことごとく手もとにないが、ぼちぼち再訪したいものである。

 

 そのまえにレコードとCDを売るまえにもう一回聴くキャンペーンをしないと。兎にかくカネ、カネである。

 

 以上、報告おわり。

 

 

P.S. ずっと「幻某氏」を「まぼろし帽子」だとおもっていた。失敬!