仕事が「検討」であってみれば、問題がつぎつぎに先送りされてもふしぎではない。
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スライドと弦ばなしのつづき。
前回、気ままにバーをすべらせていたとき、急に聞きおぼえのあるフレーズがでてきて、何かと思ったらE・クラプトンの『Motherless Children』だった。たしか『No Reason to Cry』収録だったはず、とおもってYou Tubeに聞いたら『461 Ocean Boulevard』が正しいという。しかもキーはA。おまけにレギュラーチューニングで弾いている。
『461 Ocean Boulevard』は好きな盤だというのに、しばらく聞かないと曲を忘れてしまうものらしい。コルトレーンのときもそうだった。
とはいえ、じつに四半世紀ぶりに脳内再生されたので、じぶんでもおどろいた。耳の記憶というのはほんとうに計り知れない。
調子にのってすべらせていたら弦がももけてきた。ももける、は標準語なのだろうか。毛羽立つ、が正しいのか。ももける、のひびきがよすぎてつい多用してしまう。
だんだんと音が伸びなくなってきたので、弦を買おうと楽器屋さんにでかけたら、例によって種類が大量にあって戸惑った。しっぽをまいて、というわけではないが、買わずにかえってきた。いつものパターンである。
どうやらコーティング弦もいろいろな製品がでているもよう。スライドの場合、弦の表面の処理によって、サスティンと弾きやすさに影響がありそうだ。こういうのを検証しようとすると、なまじ弦のもちがいいからなん年もかかりそうで、途中で検証していることを忘れてしまいそうである。
それ以前にそもそも弦の張りかたを忘れかけている。「ポストに弦をあらかじめ一周させてから巻くとチューニングが狂いにくい」という記憶だけはのこっているのだが、どうも仔細がはっきりしない。こういうことにもちゃんと流派があるのである。
ついでにいうと、切ったあとの弦の処理もそれぞれである。くるくる丸めるひともいるし、けがをしないように先端を内側に折るひともいるし、なにもしないというひともいるし、いろいろだ。こういうことにもちゃんと流派があるのである。
適当に巻くと狂いやすくなるのはたしかだが、といってしらべるのも大儀である。弦の交換じたいが面倒なのに、張りかたをしらべるなど、それに輪をかけるようなものだ。
弦を張り替えるのが好きだという弦楽器奏者に、私は出会ったことがない。以上、連絡おわり。