【Viper】・・・マリファナ喫いのこと。吸いこむときの音に由来する。
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前回のつづき。
このあいだからヴァン・ロンクの本を読んでいるのだが、むつかしくてなかなかすすまない。文体も語彙も独特で、すっと入っていきにくい。
博覧強記タイプで、かつスプリント型の知性のもちぬしかとおもう。一定期間に集中してすばらしい結果をだせるいっぽう、10年も20年も一歩ずつ継続して何かを積みあげていくタイプではない。頭の回転がはやすぎるためか、しゃべりながらそれにたいする応答も同時にかんがえている節がある。
読んでいてつくづくおもうのだけれど、博覧強記で持続型というのは相性がいいが、スプリント型だと塩梅がむつかしくなる。資質と気質がぶつかりあうからだ。その衝突ぐあいがつよい個性をうみだすのだが、それがスンナリといきにくい。
ロンクの場合、ひとつの文のなかでもいろいろなことをおもいつきながら書いていて、それも同時進行的に織りこんでいくので、彼の思考の癖というよりは、意識のながれというか、そういうものをつかまないと、うまく読みすすむことができない。
歌い上げるタイプの文章ではないし、ひねりの利いた知性とウィットはあるものの、華麗とも晦渋ともいえない。このまえのサミュエル・チャーターズのようにプレーヤー兼学者というわけでもないので、説明文ともほど遠い。
要はロンクは説明をするが、わからせようとはしない。しいていえば仲間うちの符牒というのがいちばんちかいけれど、それよりはだいぶ親切である。
このひとのアルバムを聞いたことがなかったので、Amazonに訊ねてみたら、あろうことか教則DVDがでていた。いっときブルースギターを教えて生活の足しにしていたというのは本に書かれていたが、つくづくネットにはなんでも転がっている。
以上、報告おわり。