ドバラダ飛空船〜ブルースからハワイまで〜

ギターをひいたり真空管アンプをつないだり

音楽を聴こう40 ~トム・ウェイツ~

     Tom Waits ”The Early Years Vol.2”

 

 私の世代にとってトム・ウェイツはミュージシャンというよりは俳優で、ジム・ジャームッシュとセットになっている。はずかしながら、アサイラムイーグルスとつながっていたことは、先日ようやく知った。直接の関係性などはまだしらべられていない。彼の場合、自伝なりはでていそうだから、これを機にさがしてみようとおもっている。

 

 はじめて作品を聴いたのはたしか大学1年のころ。きっかけはわすれてしまったが、酔いどれ吟遊詩人というイメージだったとおもう。酔っぱらい詩人といえばチャールズ・ブコウスキーだが、もし彼がギターとピアノを弾けて歌が上手かったらこんな感じになったかもしれない気はしないでもない。どっちなんだい。

 

 『Grapefruit Moon』から聴きだして、いちおうアイランド三部作あたりまではおさえたものの、愛聴するにはいたらなかった。当時の自分には不良っぽくカッコよすぎたというか、ハードに洒落すぎていたというか、たぶん両方だったのだろう。

 

 オッサンになってきく音楽かときかれても困るが、こういうサウンドがはやくから似合うひともいれば、おくれてくるひともあるし、一生しっくりこないひともいれば、そもそも無縁なひともある。フォーク・ブルースのくくりで語っていいアーティストだとはおもうものの、サルヴァドールというかビートニクというか、そうしたサロン的前衛の香りがそこはかとなく漂っており、それと折り合いがつく時期がどこになるかは、ひとそれぞれである。

 

 本作はいわゆるデモ・テープ的なものではない。楽器編成がすこぶるシンプルなだけで、完成度はすこぶるたかい。生な演奏の好きなひとは気に入るのではなかろうか。

 

 なお、喚起力はかなりつよいので、禁酒禁煙中の向きは注意が必要である。以上、報告おわり。

 

 

The Early Years, Vol. 2

The Early Years, Vol. 2

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