『チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス』を聴いた。オーケストラは少々騒がしかったが、バードは相変わらずスウィングしていた。
バードを崇拝した50年代の実存主義者たちのあるものは、バードのアルトを「黄金色のペニス」と呼んでいたという。確かにパワフルであるにはちがいない。
ただ、彼自身が常にこころから演奏をたのしんでいたかといったら、そうでもないような気がした。彼にふさわしいリズム・セクションが提供されることは稀だったし、バードは日ごとドラッグに蝕まれ、持病との闘いでからだはボロボロだった。もっとも「あれはフライド・チキンの食べすぎが原因だ」というものも、あるにはあったのだが。
とはいえ、それでもまだ、彼はその気になりさえすればいつでも、観客と共演者をアルト一本でノック・アウトすることができた。1952年、マッセイ・ホールでのライブにおける「ソルト・ピーナッツ」を聞けばわかる。
以上、報告おわり。