ドバラダ飛空船〜ブルースからハワイまで〜

ギターをひいたり真空管アンプをつないだり

音楽探偵、早起きす

 スラックキーの教則本を開いていると、譜面にモデラートやらアレグロやら書かれている。横にBPMが表記されているので、もっぱらメトロノームアプリでそれを鳴らしているが、あいかわらずフィーリングはだせていない。

 

 小学生のころ、いつもだんだん速くなってしまって、いつまでもメトロノームに合わせることができなかった。いまは合わせようとしても揺れてしまう。合わないのはかわらない。

 

 この速度記号、記号ではなくイタリア語なので、速さ以外のニュアンスもふくまれている。それならもっとたくさん種類があってよさそうなものだけれど、じっさいどうか知らない。もうなん十年も譜面というものを開いていないので、読むこともほとんどできなくなっている。

 

 そんな矢先に図書館のブックバンクに『音楽用語の知識』(シンコーミュージック、1991年)がでてきたので開いてみると、発想用語というのがあるそうだ。あるわあるわ、ワンサカでてくる。アッファービレ、ブリランテ、コモド、コン・グスト、デリチオーソ、フェローチェ、ジョコーソ、モッソ、ポンポーソ、パストラーレ、テネロ、センプリチェ、エトセトラ、エトセトラ。

 

 おもうに、ことばいがいでニュアンスを伝えるのはむずかしく、そのことばも受け取りかたに幅がありすぎるので、BPMが共通言語のようにふるまっている。グルーヴを言語化しようと躍起になっても、ことばにするかぎり、いつまでたっても期待するほど正確にはならない。共有でき、共感でき、感得できても、かんたんに会得できないというのは、ある意味で芸術作品をめぐる構図であるといえるのかもわからない。

 

 結句、オフィス勤務をつづけながら南洋の雰囲気を保持するのはすこぶるむずかしい。以上、報告おわり。

 

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