『Steel Guitar Masters 1928-1934』(Rounder Records,1989年)
ライナーノーツによれば1989年はハワイアン・スティールギター100周年だそうで、ジョセフ・ケククが発見したという通説を採っている。ただしナイフではなく金属製の櫛だったといっている。
ケククのほかにGabriel Davion, James Hoaなどもいるが、資料的裏付けがないので、おそらく創始者はケククであろうとの由。要は元祖がたくさんいるという、よくあるパターンらしい。
スティールギターの第1世代はEarnest Kaai, William Ellis, Keoki Awai, Frank Ferera, July Pakaなどで、そのサウンドは本土を席巻し、20年代にリゾネーターギターがひろまると、ますます人気を博したそうである。リゾネーター・ギターについてはまえに書いたので割愛するが、1920年代後半から30年代前半をアコースティック・スティールギターの第1期集大成とおもっておいて、まずはまちがいないようだ。
サウンドは予想以上にレトロで、どこかサイレント映画の劇伴のようなフィーリングも聞かれる。明るくて、クラシカルで、端正で、ドリームライクでありつつ、そこはかとないユーモアがある。
コードも単純ならリズムもずんちゃ、ずんちゃで、シンプルこのうえない。ブルースはコードではなくサウンドを聞かせるというビッグ・ビル・ブルーンジーのことばを借りるなら、ハワイアンイメージを聞かせるムード音楽であるといえなくもない。いわば元型のようなサウンドであり、こういうのを退屈ととるかどうかは、聞き手しだいかとおもう。
ヴィンテージハワイ音楽のコンピレーションをあつめるという路線は継続していこうとおもう。ギター練習の近況についてはまた今度。以上、報告おわり。